新しい世界への船出を用意したＧＥＮＯＶＡ
フランス国境から東、トスカーナ州と境を隔てる沿岸がリグーリア州だ。 背後にはアペニン山脈とアルプスの山々が迫り、渓谷と入り江が織りなすイ タリアでも独特な自然を見せる。リグリア海から地中海へと、海原はアルジェ リアのアフリカ大陸へと続く。 　州都は海岸線のほぼ真ん中に位置するジェノヴァ。古代ローマによって港 湾都市の基礎が築かれ、11世紀末の十字軍の遠征を機に海洋共和国と して発展した。 　その後、近隣のピサ共和国、アドリア海に君臨したヴェネツ ィア共和国と地中海の覇権を巡る争いが続く。１３世紀にピサを破り、ティ レニア海を手中に収めたが、１４世紀末にはヴェネツィエに敗退し、次第に 勢力を弱めた。この当時の歴史は、ヴェルディのオペラ「シモン・ボッカネ グラ」の題材になっている。 　１５世紀からはフランスやスペインの支配下に 入った。１４９２年にアメリカ大陸を発見したコロンブスは、この時代のジ ェノヴァで少年時代をすごし、未知の海に乗り出す夢をあたためていた。 　その後、１８世紀にはナポレオンの支配下に、19世紀にはトリノのサヴ ォイア家の領地になり、イタリア国家統一時にその一部に編入された。ヴェ ネツィアが観光都市になったのと対照的に、ジェノヴァは今も海運国の伝統 を守り、イタリア最大の港湾都市として栄えている。近年は工業の発達も目 覚しい。 　ジェノヴァ湾の沿岸は風光名美な海岸線が続き、サンレモ、モナコ、ニー スを経てマルセイユへと続いており、時間はかかるが鉄道で行ける。 　海洋共和国時代の伝統が息づくジェノヴァ。コモから列車でジェノヴァ・プリンチベの 駅につく。ジェノヴァにはジェノヴァ・ブリニョーレという駅があり、トンネルの前後を結ぶ。 繁華街は前者のプリンチベにある。ホテルはサヴォイア家の住居を改造したサヴォイア・マジェステッ ィク、コロンブスの像のある駅前広場のまん前である。 　ジェノヴァは商工業都市に変貌はしているものの港町の雰囲気が残る。 裏町を歩くといかにも漁業の街らしい雰囲気があるし、どこかエキゾティックである。 薄暗い路地を港に向けて抜けていくと、海岸線にはいかにも庶民的な お店が建ち並び、人々の生活を彷彿とさせるシーンがある。大丈夫だから 歩いてみると良い。 　コモからの道のりは、列車でミラノでの乗り継ぎ入れて約３時間、列車は丘陵地帯を上ったり降りたりして走り抜けて、山から抜けるとそこがジェノヴァだ。では、旅をするような気分でジェノヴァの写真集もお楽しみいただきたい。 ジェノヴァの地図はこちらからどうぞ。		港より道ぞ開けりジェノヴァより時代を超える水平線見ゆ 　　山を背に人集めたりジェノヴァ駅ここから始まる一日の朝 　　裏町の薄暗き道彷徨えば訪ね見つけし人の親切 　　君が手を握りて歩く裏町の心細さにぬくもりぞ知る 　　潮の香が漂う街の薄暗き道に店置くジプシー女 　　頂へトンネル登るフニコラーレ暮らしと共に旅人乗せる 　　ジェノヴァ湾見下ろす古城今もなお時を眺めて佇みており 　　あの人もこの人もまた嬉しそに道を教えしジェノヴァの人よ 　　ダラーナ探し当てれば休業と窓から身振りで笑顔が語る 　　　　　＊ダラーナは地元ジェノヴァで人気の魚料理店 　　勧められ訪ね当てたるピッザリア着けば突然豪雨迎えり 　　　　　＊ピッザリアはピザの専門店の総称

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